今回は宅建試験の難関「権利関係」で必ず出るポイントについて解説します。
権利関係は非常に難しい分野ですが、例年14問も出題されています。近年では合格点も上昇しているため、権利関係はますます落とせない分野になるでしょう。
という方のために、この記事では次の点について解説します。
- 宅建試験の権利関係で必ず出る分野と出題傾向
- 宅建試験の権利関係で必ず出る分野の勉強方法
- 宅建試験で必ず出る分野・権利関係とは
- 宅建試験で必ず出る分野が難しい時
解説するのは独学3ヶ月で宅建試験に一発合格したA・マキタです。
それでは、詳しくみてみましょう。
宅建試験の権利関係で必ず出る分野と出題傾向
宅建試験の難所である権利関係ですが、必ず出る分野があります。
宅建士として覚えておくべきルールがあるからです。
頻出問題を知っておくと、勉強効率が高まります。
詳しくみてみましょう。
「権利関係」頻出分野
権利関係は複数の法律が集まった科目です。
理解するのが難しい科目ですが、頻出傾向にある分野を押さえておくと勉強しやすくなります。
例年出題傾向が高い分野は以下の通り。
- ①民法
- 借地借家法
- 区分所有法
- 不動産登記法
以下で詳しく見ていきます。
①民法
民法は14問中、10問出題されます。頻出の出題分野は次の通りです。
- 制限行為能力者
- 意思表示
- 代理
- 時効
- 不動産物件
- 抵当権
- 債務不履行と解除
- 賃貸借
- 相場
これらの分野は宅建士として押さえておきたい基本ルールなので、頻出傾向にあります。
逆に言えば落とせない分野なので、重点的に勉強する必要があるでしょう。
②借地借家法
借地借家法は「借地」から1問、「借家」から1問出題されます。
全体的に満遍なく出題されるため、借地借家法は一通り押さえておく必要があるでしょう。
私が受験した年では「定期建物賃貸借」にかかる問題が出題されました。
ややこしく誤解が生じやすい分野ではありますが、それほど難しい問題は出てきません。
借地の方がややボリュームが少ないので、借地から勉強を始めると良いでしょう。
③区分所有法
区分所有法は毎年1問出題されます。
マンションに関するルールが述べられており管理組合の「集会」や住人が守るべき「規約」に関する出題が多いです。
暗記すべき量が多い割に、1点しか取れないのでコスパは悪め。
過去問を重点的に行い、頻出部分に絞って勉強すると良いでしょう。
④不動産登記法
不動産登記法は登記に関する法律です。
1問しか出題されない上に、内容が非常に難しいので、コスパが最も悪い分野と言えるでしょう。
こちらも「登記の申請」や「登記簿の作成」などを重点的に行い、他はさらっと流すことをおすすめします。
この分野に力を注ぐのであれば、出題数の多い民法に使った方が得点があがりやすいからです。
「権利関係」出題傾向
ここまでは、権利関係の頻出分野について述べてきました。
これらは実際の試験ではどのような形で出題されるのかです。
- ①色々な形式の問題が出てくる
- ②問題文が長い
- ③何が言いたいのかよくわからない
これらの3つを以下で詳しく見ていきましょう。
①色々な形式の問題が出てくる
権利関係はざまざまなバリエーションの問題が出題されます。例えば次のようなものです。
- 登場人物A,B,C…と出てきて、それぞれの関係性について問われるもの
- 規定に関しての正誤を問われるもの
- 判例が何を言いたいのかを問われるもの
それぞれ解き方が違うので、過去問を数多くこなし、権利関係の解き方に慣れておく必要があるでしょう。
権利関係の難しさは、専門用語や法文の他に、出題のバリエーションが多いことにあるのです。
②問題文が長い
権利関係の問題と選択肢はとにかく長いです。令和5年度の問3を例に見てみましょう。
問3:Aを注文者、Bを請負人として、A所有の建物に対して独立性を有さずその構成部分となる構築部分の工事請負契約を締結し、Bは3ヶ月間で増築工事を終了させた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例によれば、誤っているものはどれか。なお、この問において「契約不適合」とは品質の内容に関して契約に適合しないことをいい、当該請負契約には契約不適合責任に関する特約は定められていなかったものとする。
(一般社団法人 不動産適正取引推進機構ホームページより引用)
多くの方がこんな気持ちになるでしょう。
続く選択肢も問題文並みに長く、読んでいるうちに意味がわからなくなる方も多いです。
読解に時間を取られると問題を解ききれなくなってしまいます。合格するには、日頃から過去問行い、長文に慣れておく必要があるでしょう。
③何が言いたいのかよくわからない
権利関係は回りくどい言い方をしてくるため、何が言いたいのか分からない問題も多いです。
上記②の問題文を解読すると次のようになります。
- AさんがBさんに増築を依頼しました。
- 増築部分は既存の建物に付随するものです。
- 工事は3ヶ月で終わりました。
- この場合、民法の判例に照らして間違ってるものを選んでください。
- 特約のことは考えなくて良いです。
このような内容を、二重三重の言葉のベールに包み、意味が分かりづらい文章にしてくるのが権利関係です。
合格したい方は、日頃から権利関係の過去問に触れ、文章を読み解く練習をしておく必要があります。
宅建試験の権利関係で必ず出る分野の勉強方法
権利関係は、宅建業法に次いで出題数の多い分野です。
と考えていると、合格からどんどん遠ざかってしまいます。
という方のために、ここでは権利関係を勉強する方法について解説します。
勉強方法①:問題文は句読点で分解して読むとわかりやすい
まずは問題文を句読点で分解することです。
長文を一気に理解しようとすると、誤解したり、重要な情報を読みおとしたりしてしまうからです。
先ほどの文を例に分解してみましょう。
問3:Aを注文者、/Bを請負人として、/A所有の建物に対して独立性を有さずその構成部分となる構築部分の工事請負契約を締結し、/Bは3ヶ月間で増築工事を終了させた。/この場合に関する次の記述のうち、/民法の規定および判例によれば、誤っているものはどれか。/なお、この問において「契約不適合」とは品質の内容に関して契約に適合しないことをいい、/当該請負契約には契約不適合責任に関する特約は定められていなかったものとする。
①)「Aを注文者」
②)「Bを請負人として、Bは3ヶ月間で増築工事を終了させた」
③)「A所有の建物に対して独立性を有さずその構成部分となる構築部分の工事請負契約を締結し」
④)「民法の規定および判例によれば」
⑤)「誤っているものはどれか」
⑥)「なお、この問において「契約不適合」とは品質の内容に関して契約に適合しないこと」
⑦)「当該請負契約には契約不適合責任に関する特約は定められていなかったものとする」
このように分解していくと区切ってみると、一文一文は難しくないことが分かります。
ただ過去問や本試験の時に、このように色分けしている時間はありません。過去問演習をする際に分解して読む癖をつけましょう。
また、③の部分については、区切るだけでなく、知識が必要になりますね。
「既存の建物を増築しますよ、新しい何かを建てるわけじゃないですよ」と言っているだけです。
問われていることは非常に単純なので、工夫して読み解けば正答率がグッと上がるでしょう。
勉強方法②:「主語」はなにかを明確に
権利関係を解く際は主語を明確にしましょう。
長文かつ登場人物が多い権利関係では、誰が何をするのかを明確にすると、文章を理解しやすくなります。
上記の問題(令和5年度 問3)の選択肢3を見てみます。
令和5年度・問3
Bが材料を提供して増築した部分に契約不適合があり、Bは不適合があることを知りながらそのことをAに告げずに工事を終了し、Aが工事終了日から3年後に契約不適合を知った場合、AはBに対して、消滅時効が完成するまでは契約不適合を理由とした修補を請求することができる。
長々と書いてありますが、この選択肢は「AはBにやり直しを依頼できる?できない?」ということです。
あとは「Bが不適合を知っていること」「消滅時効が完成していなければ請求できること」を読み解けば(知っていれば)、この問題は◯であることが分かります。
このような感じで問題文の意味に気づければ、無駄な言葉に惑わされずに、素早く正確に問題を解くことができます。
勉強方法③:図を書くと理解しやすい
権利関係を解く際は、図に描くことをおすすめします。
登場人物や関係性が整理されることで、文章の意味を理解しやすくなるからです。
例えば「Aを注文者、Bを請負人として」であれば
A(注文者)→B(請負人)
と書きます。図にすることで、「Aはなんだっけ…」と、いちいち思い出したり、読み直したりせずに済みます。
状況に応じて「増築依頼」や「不適合を知っていた」など、条件を書き加えると、さらに分かりやすくなりますよ。
勉強方法④:1つずつコツコツと問題を解く
と思うかもしれません。
権利関係は覚えるべきことが多いので、コツコツと勉強を積み重ねていくことが大事です。
焦ったり、一気にやろうとしたりするのは逆効果。学習効率を下げてしまうだけです。
という方は、出題数の多い民法から始めてみましょう。その中で、文章を分解にしたり、図を書く練習をしたりすれば良いのです。
多くの合格者たちは、そうした小さな積み重ねをして合格しています。
一見長い道のりに見えますが、できないことはありません。できることから1つずつコツコツやっていきましょう。
宅建試験で必ず出る分野・権利関係とは?
宅建士は不動産という大きな価値のあるものを取り扱います。そのため、「売り手や買い手」「借り手や貸し手」など、両者が不利益を被らないよう、仲介役の宅建士が法律をしっかりお伝えする必要があるのです。
そのため、毎年の宅建試験で権利関係は、宅建業法に次いで14問と出題数が多いのです。
では、具体的にどのような問題が出てくるのか見てみましょう。
法律の種類
権利関係で出てくる法律の種類は次の通りです。
- 民法
- 借地借家法
- 区分所有法
- 不動産登記法
詳しくみてみましょう。
民法
民法は主に契約などに関して定められた法律です。
宅建士が扱う不動産の売買や貸し借りの契約も、この民法に基づいて行われます。
制限行為能力者や代理など、聞き慣れない言葉も出てくるので、苦手意識が強い方も多いでしょう。
価値の大きな不動産を取り扱う宅建士だからこそ、契約に関するルールをしっかり身につける必要があるのですね。
借地借家法
借地借家法は名の通り、土地と建物の貸し借りに関する法律です。
立場が強い「貸主」から不当な要求をされないよう、「借主」を守るための法律と言ってもいいでしょう。
難しい分野ではありませんが、借家法は似た名前の制度や同じような言い回しが多く、混乱しやすいです。
制度の違いを、明確に理解できるかどうかが重要になります。
区分所有法
区分所有法はマンションに関するルールを定めた法律です。
同じ建物の中には複数の居住者がいます。お互いが気持ちよく暮らすために定められた法律と言ってもいいでしょう。
例えば、試験によく出てくる「集会」では、建物の復旧や建て替えの決議方法に関するルールが定められています。
マンションに住んでいても、意外と知らない方も多い法律です。
不動産登記法
不動産登記法は登記の作成や申請に関する法律です。
土地や建物の所有者が変わった時は、所有者が変わったこと、国や地方にを知らせる必要があります。
そのルールを明記したものが不動産登記法です。
登記を行う「登記簿」には、前所有者や建物の状態などがかなり事細かに書かれています。
権利に関する重要な事柄でもあるので、作成・申請・更新を確実に行えるように定められた法律なのです。
何点取れば合格?
権利関係は最低でも8問は正解する必要があります。
具体的には次のような目安で点数を取りたいところですね。
科目 | 出題数 | 最低正解数 |
宅建業法 | 20問 | 16〜18問 |
権利関係 | 14問 | 8問 |
法令上の制限 | 8問 | 5問 |
税・その他
(5問免除含む) |
8問 | 6問 |
権利関係は14問と出題数が多く、点を落としすぎると他の分野で挽回することができません。
最低でも8問は正解できるようにしましょうね。
【通信講座】宅建試験で必ず出る分野が難しい時
権利関係は、独学者が最も挫折しやすい分野です。
非常に難しい法文に加え、解き方にもコツがいるからです。
理解が難しい部分をいちいち調べていると、学習効率が落ちてしまいます。せっかく頑張って勉強しても、不合格になってしまう可能性もあるでしょう。
という方は、通信講座を受講しましょう。
通信講座なら、分かりやすいテキストや講義で権利関係も楽々攻略可能。分かりづらい点は質問することができるので、学習効率もぐんと高まります。
中には権利関係に特化した通信講座もあるほどです。権利関係は、そのくらい受験者を悩ませる分野なので、攻略が厳しい方は受講を検討しましょうね。
ぜひご覧になってください!
【まとめ】宅建試験の権利関係で必ず出る分野
この記事では、宅建試験の権利関係で必ず出る分野について解説してきました。
まとめると次のようになります。
- 権利関係は出題数が多いので得点源にする
- 権利関係は頻出ポイントを重点的に勉強する
- 文章が分かりづらいので、分解したり、図を書いたりして読み解く
権利関係は最大の難所と言われています。
勉強範囲が膨大な上、文章がかなり分かりづらいからです。
という方は、通信講座を利用するのがおすすめです。
学習効率をグッと高められるので、合格に一気に近づくことができますよ。
権利関係でお悩みの方は、ぜひ検討してみてください。